ことばの栞 20231008

「ささげものとなるために」
 パウロはローマ書を書いた動機と目的を振り返り、この手紙の核心を改めて読者に思い起こさせます。一つ目はパウロが何者であるのか、二つ目はなぜわざわざこの手紙を書いたのかということです。

 ローマ書の前半の初め、この手紙の最初でパウロは、キリスト・イエスのしもべ、福音のために選び出された使徒だと語り、後半の初めである12章の初めでは、あなたがたのからだを神に喜ばれる聖なる生きたささげ物として献げなさいと、既に語っていました。
 手紙を終える前に、改めてこれらを思い起こさせ、パウロが手紙を送った意図と働きを伝えます。

 キリストのしもべであるパウロに与えられたミッションは異邦人に対する祭司の務めであり、その結果与えられる実りの姿は異邦人が神へのささげものとなることでした。パウロが異邦人をささげるのではなく、彼ら自身がささげものとなって神に身を委ねることこそ、この働きの目的でした。
 パウロはしもべとして自らを誇るのではなく、かしらなるキリストのみをほめたたえます。キリストから忠実なしもべだとほめられれば十分なのです。そのために、遅れることなく、キリストの福音を携えて、また宣べ伝えられていない地域や人々に向かっていきます。
 
 その姿は私たちとも重なります。私たちが福音を持って外へ出なければほかの者で土台が据えられてしまう人々がこの地には多くいます。
 私たちはパウロが神のしもべとして使命を全うしようとした姿に倣い、自分自身の使命と働きのゴールの姿を求めて仕えましょう。それこそが、自らをささげ物として歩む神への礼拝だからです。